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Vol.003
新NISAが始まるのをきっかけに投資を考えてみましょう

2023年10月1日

2024年から新NISAが始まります

2024年から新NISAが始まります。
将来に備えて株式や投資信託に投資をすることを国が税制面から応援するもので、個別の株式等が投資出来る「成長投資枠」は年間240万円まで(累計で1,200万円が上限)、金融庁が指定する投資信託で積立をしていく「つみたて投資枠」は年間120万円(累計で600万円が上限)まで、利益が非課税で投資出るようになります。
また従来のNISAでは、株式等は5年、積立の投資信託は20年であった非課税期間が、どちらも無制限に拡大されました。

具体的には、この非課税枠を使う新NISA口座で投資すれば、株式なら買値より高い価格で売却、投資信託なら買値より高い価格で解約出来たときに、売却益や解約に伴う差益に係る約20%の税金は非課税となります。

また、保有期間中に株式なら投資している会社から受け取る配当金、投資信託なら受け取る収益分配金も通常約20%の税金が天引きされてしまいますが、非課税となるNISA口座で保有していれば、約20%分の税金が天引きされず、配当や収益分配金の額をそのまま受け取ることが出来ます。

新NISA

例えば、NISA口座で100万円投資して購入した株式から受け取る配当金4万円は、NISA口座以外なら、約20%差し引かれて約3万2千円が入金されるのですが、NISA口座なら4万円そのままが入金されることになります。つまり、NISA口座以外なら配当利回りが事実上3.2%となるのですが、NISA口座なら配当利回りは、そのまま4%で運用出来ることとなります。

上記の配当の例では、その差は約8,000円、それほどの額でもないと思われる方がいるかもしれませんが、新NISAの口座では無期限で保有し、配当をもらい続けることが出来ますので、それが10年、20年と積み重なれば大きな差額となります。

また売却益についても100万円で購入した株式を120万円で売却したら、その差益20万円に対して約20%の約4万円税金が徴収され、手元に残るのは約116万円になるのですが、NISA口座で購入した株式なら、120万円そのまま手元に戻ってきます。

このようなかたちで、株式や投資信託への投資を税制面で優遇し、多くの人に貯蓄から投資へ資金の流れを誘導していくことがこの制度の狙いです。

株式市場全体は長期的には、経済成長により、右肩上がりになっていくと一般的に考えられています。よって長期に投資すれば、値下がりリスクは下がり、値上がり益を得られる可能性が高まります。典型的なのは、この約30年間の米国株式です。米国の経済成長とともに、価額は右肩上がりで上昇してきました。
ただ日本株については、右肩下がりの時代がバブル崩壊後、約20年続きました。日本の将来については悲観的な見方もありますし、私も日本株全体としては、長期的に上昇するのか疑問を持ったことも過去にはありました
そんな日本株でも、ここ10年は右肩上がりになりつつあり、日本株全体の株価を示すTOPIXの価額は、2023年になって、バブルでつけた最高値を33年ぶりに更新してきています。

投資経験のない人も投資を始めるいい機会です

そんな環境の中で、今まで投資をしてこなかった人も投資をすることに前向きになってもよい時代になってきたと思っています。日本株全体でみれば(短期的に上げ下げはあるのは当然ですが)長期的にこのまま右肩上がりの時代が今後もしばらく続くと私自身は考えており、そのことが投資を勧める一つの理由であります。

ただそれだけでなく、配当利回りが日本株全体で上がってきていることも、投資をお勧めする大きな理由です。
私が投資を始めた1990年代の頃は、株式を買っても、受け取る配当は、せいぜいその購入価額の1%程度だった気がします。当時は、定期預金に預ければ、それを上回る預金利息がもらえ、毎年もらえる果実としては、株式は決して有利とは言えませんでした。
そんな状況が徐々に変化してきました。日本株の一番信用があるとされるプライム市場の配当利回りの平均は、令和5年8月時点の現状で、日本取引所グループの資料によると2.2%となっているようです。税金のかからないNISA口座にてプライム市場の日本株に100万円投資すれば一年で平均して2.2万円の配当がもらえるということです。
日本企業も、稼いだ利益を会社内に留めておく内部留保重視から、配当等のカタチで株主に還元する株主還元重視に少しずつシフトしてきているのです。

一例として、皆さんもよくご存じであろう「積水ハウス」の株をみてみましょう。2023年9月初旬の時点で、3.8%の予定配当利回りとなっています。現時点の預金利息の利率と比べれば、その差額は大きいと言えるでしょう。もちろん、株式なので投資した金額(元本)の値下がりリスクはあります。が、それでもこのまま投資額の3.8%の配当を受け取り続けば、約26~27年で配当だけで元本をも回収することが出来ます。

株式は値上がり益を狙う博打的なものと思っている人もまだまだおられると思いますが、このようにインカムゲイン、つまり余剰資金を投資して配当を受け取ることで、生活を豊かにすることが出来ます。

積立投資からスタートする方法もあります

ただ、どうしても個別の企業の株式を購入することにリスクを感じる人は、まずは「つみたて投資枠」を使い、投資信託を活用した運用から初めてみてはいかがでしょうか?
「つみたて投資枠」の投資信託では、若干の収益分配金を受け取ることはあるかもしれませんが、上述した一定額の配当を受け取るメリットはあまり得られません。
その反面、新NISAの「つみたて投資枠」は、長期の積立・分散投資に適したと金融庁が認める投資信託の商品の中から購入することになりますので、いきなり個別株式を購入するよりは安心感もあります。
この「つみたて投資枠」から毎月の投資をはじめて、もう少しリスクをとってもリターンを狙いたいと考えるようになれれば、「成長投資枠」を使ってもう少し値幅のブレが大きくなる個別の株式や投資信託を購入されていくのもいいかもしれません。

よって投資をしたことがない人も、一度、少額からでもいいので、新NISAを使って投資にトライされてみることを個人的にはお勧めします。税金は徴収されませんので、NISA口座内の投資だけなら、確定申告の手間もありませんので。

今西学

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